【感想】『やがて海へと届く(著:彩瀬まる)』

『やがて海へと届く』を読みました。

東日本大震災をテーマにしているとは知らずに買ったのですが、震災について考えさせられる素晴らしい作品でした。

それでは簡単に感想を書いてみようと思います。

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『やがて海へと届く』のあらすじ

一人旅の途中ですみれが消息を絶ったあの震災から三年。今もなお親友の不在を受け入れられない真奈は、すみれのかつての恋人、遠野敦が切り出す「形見分けをしたい」という申し出に反感を覚える。親友を亡き人として扱う彼を許せず、どれだけ時が経っても自分だけは彼女と繋がっていたいと悼み続けるがー。
(引用『やがて海へと届く』裏表紙)

東日本大震災をテーマに、被災者と被災者の友人、彼氏、家族について描かれています。

突然消息を絶った被災者を、家族は、彼氏は、友人はどう受け止め、どう乗り越えていくのか?そして、乗り越えた先に何があるのか?

『やがて海へと届く』の感想

震災について正面から考えるきっかけになった

これまで僕は、震災について真剣に考えることはありませんでした。

阪神・淡路大震災が起こったのも小さい頃でしたし、この『やがて海へと届く』のテーマになっている東日本大震災も関西に住んでいたので、それほど真剣に考えるきっかけがありませんでした。

もちろん、震災がもたらした被害については理解しています。でも、どこかで「自分は、自分の家族は被害に遭わなくてよかった」という気持ちがあったのでしょう。

ただ、この『やがて海へと届く』を通して、震災について真剣に考えなきゃいけないなって思いまいた。

それは震災は、被害がなくなれば終わりではないからです。

「震災を忘れてはいけないとは?」なんなのか?

阪神・淡路大震災が起こった1月17日、東日本大震災が起こった3月11日には、「あの日を忘れない」という言葉をそこかしこで聞きます。

でも、「震災を忘れない」ってなんなんでしょうか?

これはこの『やがて海へと届く』でも一つのテーマとして取り上げられています。

「ここまで津波が来たから次の震災の時にはもっと高くまで逃げなくちゃいけないとか。(中略)そういうのは教訓だよね。教訓は少しずつ社会の仕組みに吸収して、忘れるとか忘れないとかより、当たり前のものにしていかなきゃいけない。だから、忘れない、ってわざわざ力んでいうのはもっともやーっとした……死んだ人はくやしかったよね、被災者はかわいそうだよね、私たちみんな一緒だからね、みたいな感じでしょ。でも、戦争とか体験してないし、私は身内を亡くしたわけでも家が流されたわけでもないんだから、ほんとはぜんぜん一緒じゃない。だんだん、忘れないって言葉が、すごくうさんくさく思えてきたの」
「なんか古いってか、ポエムっぽいしね」
「うん。それさえ言っとけばいいだろ的な。考えるのをやめてる感じ」
(引用『やがて海へと届く』)

これは話の中で女の子二人が、どちらかが震災に遭って亡くなったら、生きてる方に何をしてほしいか?を尋ねられ、それについて答えているシーンです。

僕はこの女の子たちの受け答えがすごく心に刺さりました。

たしかに「忘れない」って言っておけば、それでOKみたいな風潮は少なからずあるよなって思うんです。忘れないことが大事、そう言っておけば自分たちの役目は終わり!みたいな感じで、すごく薄っぺらいよなって思いました。

じゃあ、「震災を忘れない」ってなんなんでしょう?

僕は「震災を忘れないこと」が大事なのではなく、震災を通じて震災を怖さを知ったり、震災の被害者の人たちがいる現実を知ることが大事なんじゃないかって思います。

救われ方、救い方は人それぞれだ

これは震災に限ったことではないですが、誰かを救う方法って一つじゃないんだって改めて感じました。

立場が違えば、育った環境も違い、考え方も違います。

であれば、「こうすれば救える」なんて方法はなくて、一人ひとりにあったアプローチで救う必要があるんですよね。

そして、救われ方が違うように、救い方も人それぞれでいいと思うんです。

金銭的な救い方ができる人もいれば、肉体労働で救おうとする人もいて、知恵を出す人もいて、何か物を運ぶ人もいたりと、人それぞれ救い方が違ってもいいんですよね。

誰かを救いたいと思う気持ちがあれば、救い方はなんだっていいんだ!って思えたのも、この『やがて海へと届く』に出会えたからだと思います。

さいごに:震災を他人事だと感じている人にこそ読んでほしい

この『やがて海へと届く』は、震災を他人事だと感じている人にこそ読んでほしいです。

僕自身が震災を他人事だと感じていたように、震災を他人事だと感じている人はたくさんいると思います。そして、そういった人は、震災に遭ったときにはじめて震災を自分事として考えるようになるわけですよね。

でも、それではすごく遅いと思うんですよ。

震災に限らず、病気も障がいも、事故も、人の死も、他人事だと思っていれば、実際にその場面に遭遇したときに何もできずに終わってしまい、後悔だけが残ります。

もちろん、どれだけ準備をしても後悔するときはするでしょう。

でも、しなくてもいい後悔までする必要はないと思うんです。「もし、あのときこうしておけば」「あれを準備しておけば」と後悔しなくてもいいように、いざというときのためにいろいろなことを自分事化して備えておくといいと思います。

また、震災などを通して自分はどう生きたいのか?どんな人生を歩みたいのか?などを考えるといいと思います。

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