【感想/小説】『僕の心がずっと求めていた最高に素晴らしいこと』僕たちはこの作品から何を学ぶべきなのか?

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何気なく手に取った作品が、実は名作だったなんてことはよくある話ですが、この『僕の心がずっと求めていた最高に素晴らしいこと』もその一つになりました。

英語のタイトルは『ALL THE BRIGHT PLACES』なんですが、上手く訳されていると思います。この『僕の心がずっと求めていた最高に素晴らしいこと』の意味は最後の最後にハッキリするんですが、読んでいるとなんとなくわかってきます。ただ、読んでみないと本当の意味はわからないです。

生きていく意味や価値をあらためて問われた、そして考えさせられた素晴らしい作品でした。

あらすじ

高校3年生のセオドア・フィンチは、この世界に別れを告げるため、学校の鐘桜の上に立ち、はるか下を見下ろしていた。
両腕を掲げ、最後の演説を始めようとしたその時、塔の反対側に、ヴァイオレット・マーキーが凍りついた表情で下を見つめていた。
奇妙な出会いから始まったふたりの友情と恋……。
フィンチは、ヴァイオレットを元の世界につなぎ止めることを自らのミッションとして課し、ヴァイオレットはそんなフィンチから生きることを学んでいく。

(引用 Amazon『僕の心がずっと求めていた最高に素晴らしいこと』)

少しだけ補足しておきます。

主人公であるセオドア・フィンチは、生き辛さや息苦しさを感じ、いつもどこかで死ぬタイミングを見計らっているような少年。一方、ヴァイオレット・マーキーは、最愛の姉を亡くし、その時から一歩を踏み出すことがでなくなっていた少女。

二人は出会うべくして出会い、落ちるべくして恋に落ちる。ただ、出会いがあれば、別れがある。

セオドア・フィンチはなぜ何も告げず姿を消したのか…?そして、姿を消したフィンチに対して恋人であるヴァイオレットは何を想い、どう乗り越えていくのか…?

現代の問題の一つでもある「自殺」をテーマに、「自殺に向かう者」と「自殺した者の死を受け止とめ、乗り越える者」を描いた作品です。

感想

考えさせられた作品でした。

というのも、小説というとミステリーや恋愛、日常、家族、教育、スポーツ、人生観的なことを扱う作品が多く、あまり頭を使って読んだり、日常に照らし合わせて読むことは稀だと思います。

ただ、この『僕の心がずっと求めていた最高に素晴らしいこと』という作品は、あらすじでも書いた通りテーマが「自殺」なんですよね。特に、いじめや虐待、うつや不安障害などと絡めた自殺。そして、それをほとんど大人を交えることなく、18歳の大人なような大人じゃないような人にスポットを当てた内容になっています。

なので、自殺を一度考えたことがあり、かついじめだったり、障害だったりと世の中で生き辛さを感じていた身としては、かなり考えさせられた作品でした。

そして、自殺する側の視点はもちろんのこと、自殺される側、自殺しようとしている人に近しい人の視点を上手く捉え、描いた作品でもあると思います。

僕の家族や親戚、友だちには、幸い自ら命を絶った人はいないので、自殺などをしようとする人とどう接するべきなのかなどわかりません。ですが、年間約3万人もの人が命を絶っていれば、どう接すればいいのか?悩んだ人もいると思います。その視点が実に上手く描かれていました。

あとがきにもありますが、この作品って筆者の体験が元になっているんですよね。筆者自身も、親しくしていた人を自殺で亡くしていて、なんとか世の中の自殺者を減らしたい、そういった悩みを持つ人を救いたいという一心でこの作品を書いたと。だからなのか、かなりリアルな視点で書かれているんだと思いますね。想いがめちゃくちゃ伝わってきました。

自殺をテーマにすることで、生きることの意味や価値を問われた、いい意味で考えさせられた作品でした。

読みながら考えさせられたこと

では、感想とは別に『僕の心がずっと求めていた最高に素晴らしいこと』を読みながら、考えたことについて少しまとめておこうと思います。

自殺を失くすことはできるのか?

正直にいえば、自殺をゼロにすることは無理だと思っています。

でも、だからといって何もしなくていいのか?というと、それも違うのかなと思います。なら、何ができるのか?というのが次に考えることなんですが、意外とこれも難しいのが現実。

僕自信、曖昧な気持ちでしか自殺を考えたことがないので当事者の具体的な気持ちはわかりませんが、自殺だけしか選択肢を感じられない、思いつかないような人にとって、周りの声って聞こえないものだと思うんです。なので、もし僕たちに何かできることがあるとすれば、ふさぎ込んでしまう前の段階だと思うんですよね。「もう死ぬしかない…」と悩み、決断する手前に手を打つこと。

そうふさぎ込んでしまう前に、いかにその人に対して選択肢を提示してあげたり、仲間や頼れる人がいるということを示してあげられるか、教えてあげられるかが重要な気がします。

もし、死ぬ以外の選択肢があると知ったり、その悩みを相談できる人や解決できる人が周りにいるとわかれば(家族や友だちに限らず)、かなりの数の自殺を予防できるんじゃないかと思います。

人は人を通してしか変わることができない

人は、モノやコトではなく、結局人を通してしか変わることはできないんだろうと思います。

『僕の心がずっと求めていた最高に素晴らしいこと』にでてくるヴァイオレットが、姉の死から立ち直り、車に乗れるようになり、自ら運転することができるようになり、家族と本当の意味でわかり合えるようになったのは、フィンチのおかげなんです。

どれだけヴァイオレットが自分の扉を閉ざしていても、フィンチはその扉を何度も何度もこじ開けようと試行錯誤を繰り返して、ようやくこじ開けることができるんですね。誰かを助けたり、立ち直らせるのってそう簡単じゃない。でも、無理ではないと。

人は変わることができる。でも、そのためには誰かが根気よくその人の閉ざした扉をノックし続けないといけないんですよね。

もし、大切な人を失ったとき僕はどう立ち直るのか?

もし、僕がヴァイオレットのように大切な人を失ったら立ち直れるのかな?と少々不安になりました。

僕の場合、20数年間の中で誰かの死に直面したのは本の数回で、ほとんどかかわりのない人だったために、立ち直れないほど落ち込むことはありませんでした。

なので、ヴァイオレットの気持ちは、多少はわかるものの、共感できるほどではありませんでした。そういった意味で、ヴァイオレットのように大切な人を失ったが、僕はどうなるんだろう?とちょっと不安です。

まぁそのときになってみないとわからないというのが正直な感想なんですが、その状況になり立ち直れなくなったらどうしよう…?と。誰かが手を貸してくれるのか?それとも何かを通じて前を向けるようになるのか?それとも何事もなく平然としているのか?

考えても仕方がないことなのかもしれませんが、今回この『僕の心がずっと求めていた最高に素晴らしいこと』を通して、考えておく必要があるかもしれないと思いました。

こんな人に読んで欲しい

僕は大学に入学する前、つまりフィンチやヴァイオレットと同じくらいの年でこの作品と出会いたかったです。そうすれば、何かあの頃の悩みは改善されたんじゃないかと思うんですよね。

なので、ぜひこんな人にこの作品を読んで欲しいです。

  • 成人する前の高校生や大学生
  • 何かで悩んでいる人
  • 悩みを抱えている人が周りにいる人
  • 高校生や大学生を子どもに持つ人
  • 子どもと上手くいっていない人

という感じです。

何かした人生の悩み、特に若い頃の悩みを解決する糸口になるんじゃないかと思っています。

映画化するみたいです

あ、あとがきで読んだところ、アメリカで映画化されるみたいです。

日本で公開されるかはわかりませんが、公開されたら見てみたいなーと思います。

さいごに

『僕の心がずっと求めていた最高に素晴らしいこと』は、僕がこれまで出会ってきた小説の中ではNo.1の作品でした。

それはこの作品がフィクションであり、ノンフィクションであるからだと思います。作者の想いが言葉からひしひしと感じられました。ただの創作物としての小説ではなく、誰かを救いたい、自殺者を減らしたいという作者の強い想いがこの作品を素晴らしいものにしたんだと思います。

作者の願いが、この作品を通して叶うことを願っています。

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