【感想/小説】『コーヒーが冷めないうちに』心温まるハートフルな4つの奇跡

『コーヒーが冷めないうちに』この本を本屋さんで見たとき、なぜだろう心が魅かれました。

本との出会いとは不思議なもので、話題作を読んでもあまり感動したり、興奮したりしないのに、パッとみてなんか心が魅かれた本には感動したり、興奮したり、号泣したりすることがよくあります。(結果、その本がベストセラーだった、ベストセラーになったということはありますが…w)

今回読んだ『コーヒーが冷めないうちに』にそんな素晴らしい作品でした。

それでは適当な感じではありますが、感想を書きたいと思います。

簡単なあらすじ(ネタバレあるかも)

とある街の、とある喫茶店の
とある座席には不思議な都市伝説があった
その席に座ると、望んだとおりの時間に戻れるという

ただし、そこにはめんどくさい……
非常にめんどくさいルールがあった

1.過去に戻っても、この喫茶店を訪れた事のない者には会う事はできない
2.過去に戻って、どんな努力をしても、現実は変わらない
3.過去に戻れる席には先客がいる
その席に座れるのは、その先客が席を立った時だけ
4.過去に戻っても、席を立って移動する事はできない
5.過去に戻れるのは、コーヒーをカップに注いでから、
そのコーヒーが冷めてしまうまでの間だけ

めんどくさいルールはこれだけではない
それにもかかわらず、今日も都市伝説の噂を聞いた客がこの喫茶店を訪れる

喫茶店の名は、フニクリフニクラ

あなたなら、これだけのルールを聞かされて
それでも過去に戻りたいと思いますか?

この物語は、そんな不思議な喫茶店で起こった、心温まる四つの奇跡

(引用 Amazon『コーヒーが冷めないうちに』)

恋人

一人の女性が、彼氏(彼氏であった)から突然の別れを告げられる…。

彼女は、変えられないとわかってはいるものの、その過去に戻るために、とあるカフェの、とある席から、一週間前の過去に戻ることを決意した。

一週間のときを遡り、アメリカに旅立つ彼から告げられた一言は、彼女を未来へと向かわせる。

夫婦

看護師である高竹と、アルツハイマーを患う房木。

二人は、房木がアルツハイマーを患い、記憶を失すなどをはじめ症状が進行することをきっかけとして、看護師と患者という立場になっていた。元々夫婦という立場であるにも関わらず、そうした関係になったのは、看護師である高竹の決意でもあった。

遂に妻である高竹のことさえも忘れてしまった房木。しかし、そんなときに高竹は、過去に戻り夫である房木から一通の手紙をもらう…。その手紙に書かれた夫・房木から妻・高竹への想いとは…?

姉妹

彼女の妹は、交通事故で帰らぬ人となった。妹は、実家から家出をした姉を連れ戻すために姉に会いにきた帰りに事故に遭い亡くなった…。

彼女は、自分が家出をしたこと、そして自分に会いにきた後亡くなってしまったことは、自分が原因だ、妹の夢を消し去ったのも自分が原因ではないかと悔やんでした。

そんな彼女は、いきつけの喫茶店で過去に帰ることを決意する…。

そして、いつも受け取ってはいたものの読まずに捨てていた手紙を読んで…。

親子

計と流の間に子どもができた。しかし、元々心臓が弱かった計には、母子ともに無事である可能性が限りなく低かった。

それでも子どもを産むと決意した計は、自らが働く喫茶店で望んだ通りの時間に行けることを知っている。望んだ時間、つまり特定の時間が故に過去に行く人が多いが、計は自分の子どもが育っているであろう未来に行くことを決意する…。

果たして無事計は未来で自らの子どもと会うことができるのか…?

感想

一言で感想をまとめるなら「心が温まった」という言葉に尽きます。

面白かったし、感動したし、ホッカリしたし、望んだ時間に行くことができるSF的な要素がありながらも、人間ドラマ的な部分もしっかりあって、心が温まる作品ばかりでした。

設定について

あらすじのところにも書いたんですが、もう一度この本に出てくる「望んだ時間に行くための」設定を書いておきます。

1.過去に戻っても、この喫茶店を訪れた事のない者には会う事はできない
2.過去に戻って、どんな努力をしても、現実は変わらない
3.過去に戻れる席には先客がいる
その席に座れるのは、その先客が席を立った時だけ
4.過去に戻っても、席を立って移動する事はできない
5.過去に戻れるのは、コーヒーをカップに注いでから、
そのコーヒーが冷めてしまうまでの間だけ

(引用 Amazon『コーヒーが冷めないうちに』)

過去に戻ることができる、未来に行くことができるというSF的な話の場合って、過去を変えると現実を変えることができるって話が多い中で、この話の肝とも言えるのが「どんな努力をしても、現実は変わらない」という点です。

この現実が変わらない、そして、時間制限がある(コーヒーを注いでから冷めるまで)という設定があるからこそ、その濃密な時間の中で、人は、特に人の心、心の持ちようが変わるんだろうと思いました。

現実は変えることができなくても、そこにいる人は変わることができる。これは小説の世界でなくても同じことが言えることだとですよね。つまり、現実を変えるのは過去でもなく、もしもの世界でもなく、現実を生きる自分の心であるということ。ただ、現実を変えるためには、過去なり未来を直視すること、向き合うことが必要なんでしょう。しっかりと辛い過去、悔しい過去、見たくもない未来と向き合うからこそ、人は心を変えることができる。そんなことをこの本が、そして著者である川口俊和さんが伝えたかったことなんだろうと思います。

話について

4つの話で構成されていますが、4つ別々の話というよりも、4つの話すべてを読んで初めて1つの話が浮かび上がってくるというイメージです。

最初の「恋人」を読んでるときから、どこかぎこちない感じではあるんですが、読んでいくと徐々に「あぁーこういうことだったのね!」という感じでしっくりきました。4つの話に出てくる登場人物は同じなんですが、同じなのにタイムラグと言うか、時間のズレや理解のズレがあってその分だけ読み進めないとわからないことが多いんだろうと思います。

なので、4つの話をバラバラに読んだり、時間をおいて読むと話が掴みづらいかもしれません。ただ、非常に読みやすい作風なので、どの話もさっくり、でもじっくり味わえると思います。

全体について

おもしろい世界観の内容の本だったなーと思います。タイムスリップというと、ドラえもんしかり、バックトゥザフューチャーしかり機械的なことを想像しがちですが、それにコーヒーを使ったのはなんとも斬新でした。それも長い時間過去や未来にいけるわけではなく、限られた時間、限られた場所だけに帰ることでき、その喫茶店にきたことがある人にしか会うことができないという限定的な設定もなんとも不思議。

でも、ある意味広域的ではなく、限定的なタイムスリップにしたからこそ、過去や未来に行った人の心を変えることができたんだろうとも思いますよ。

それは人の人生が永遠ではなく、限られたものであることとも同じなんだろうと思います。永続的に生きられたなら、何事も変えられない。でも、限られた時間だからこそ、何か爪痕を残そう(良い意味で)と、もがき世の中は変わっていく。これはある意味世の中の心理なのかもしれません。

現実を変えることは難しい。辛く、苦しい現実であっても、楽しく、幸せな現実であってもそれは同じこと。でも、一点だけ変えることできるのが、自分の心と、それに伴う行動。「コーヒーが冷めないうちに」というなんともハートフルなタイトルからは想像もできない、人生観を教えられた作品でした。

あとがき

『コーヒーが冷めないうちに』思った以上に良かったです。あのとき本屋さんで出会ってなかったら、おそらく読んでなかっただろうと思うと、あのとき出会えていてよかったなーと思います。人との出会いもそうですが、本との出会いも本当に偶然というか、巡り合わせがあるよなーとつくづく思います。

これまで読んできた本の中には、決して僕にとって無駄な作品はなくて、どこかで何かしらの影響を与えている。これは本に限ったことではなかもしれませんが。でも、そうやった本にしても、人にしても出会いを大切にしていく、そこからもらった何かを大事にしていくことは、生きていく上で必要なことなんだろうと思います。

あ、2017年2月に『コーヒーが冷めないうちに』の続編『この嘘がばれないうちに』が発売されるそうです!(サンマーク出版からの年賀状で知りましたw)ということで、続編にも期待が高まりますね!

3 Comments

yuki

コメントありがとうございます!
そういってもらえてよかったです!ぜひ読んでみてください!

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